天の岩戸伝説から感じたこと

日本の神話（古事記）に有名な天岩戸伝説があります。
皆さんご存知のように、天照大御神が弟、素戔嗚命の乱暴な行いを嘆いて天の岩戸に隠れてしまいこの世から光が失われ、世界が真っ暗になってしまったお話です。
そこで、八百万（やおよろず）の神々が天安河原に集まり世界に再び明るさを取り戻すために天照大御神をどうやって岩戸から出そうかと相談します。
その結果、山から鉄を取ってきて鍛治で鉄を作る神、それを使って八咫鏡を作る神、勾玉を作る神、鹿の骨で占いをする神、祝詞を口上する神、岩戸の前で神の依代となり踊り狂う神（天鈿女＝アメノウズメ）等々。
神々たちがそれぞれ自分の役割を存分に果たしていきます。

天鈿女のこの踊りを見て神々達は大笑いし、そして『何？何？何がそんなに楽しいの？』とそっと岩戸を開けた天照をすかさず引っ張り出した力持ちの神（天手力男の神）などなど・・・
この神話には沢山の神々がそれぞれの役目（仕事？）を持っており、それらがうまく連携されて天照大御神をこの世に連れ戻し、世界が光を取り戻します。
この神々たちの連携プレーでこの世に再び光が取り戻せる。
この神話には日本人の特質である和（輪）の文化が強く表現されていると思います。

さて、この神話にはすでに製鉄の技術があったこと、鏡を作る技術があったことなどが窺い知れます。
神武天皇より以前の神代（かみよ）と言われる時代にすでに神事ごと、あるいは農耕具として、はたまた武器として使用できる鉄製品が作れていたことが『古事記』にはっきりと示されているんです。
時代を遡ると少なくとも縄文時代の話です。
その時代の人たちが歴史で言われている木の実を取ったり狩猟生活だけをして生きていたとはとても思えないんです。

そして、この天岩戸の神々のそれぞれの役目は現代の職業の始まりではないだろうかと思えます。
こう考えると、神話とは空想的なものでなくとても身近なものに感じます。
また、天照大御神を導き出すきっかけになった天鈿女（アメノウズメ）の鈿（ウズ）は渦（ウズ）ではなかったんではないだろうか？と想像してしまいました。渦は回転することでエネルギーを生み出します。
洗濯機でも、車のタイヤでも鳴門の渦でも回転することにより膨大なエネルギーを発生させます。
この世界は全て渦で成り立っている。
天鈿女が踊って回転する渦のエネルギーによって、天照大御神を引っ張り出し世界に光が蘇った。
暗闇から光が生まれました。
人のDNAも不思議なことに螺旋🌀を描いています。渦とはこの世の普遍ではないでしょうか。

そして、帯も体を中心に回転させながら結んでいきます。渦を巻くように。
帯とはDN（遺伝子）と同じように螺旋を描き、また渦のように人のエネルギーを増幅させ光を生む衣装ではないだろうかと天の岩戸の神話から感じました。